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社会・教育(社会医学・人材開発・国際連携)ユニット

研究内容の概略

 本ユニットでは、主たる研究テーマを「遠隔歯科医療・健康管理システムの構築に関する研究」とし、以下の9課題を計画した。すなわち、最先端口腔科学研究推進プロジェクトにおける疫学研究の強化を目的とした「医療アクセス困難者への臨床疫学データを活用した研究の推進」および地域連携・多職種連携のための教育研究や人材育成を目指した「歯学教育の国際展開プログラム」の2課題を本ユニットの柱に、「健康格差是正を目指した遠隔歯科リスク診断システムの構築」、「有病者の口腔衛生管理に影響を与える要因の検討」、「生活習慣病予防における多職種連携」、「入院患者に対する口腔ケアにおける遠隔システムの活用」、「歯科医療基盤データの構築」、「歯科的問題を抱える市民に対する社会受容基盤の構築」および「地域連携・多職種連携の充実化に関わる研究」等を推進して行く予定である。

具体的な研究内容(関連分野による分担)

 「医療アクセス困難者への臨床疫学データを活用した研究の推進」(健康推進歯学、歯学教育開発学、総合診療歯科学・歯科総合診療部、教育メディア開発学、歯学教育システム評価学、摂食機能保存学、スポーツ医歯学、法歯学)では、地理的要因や経済的要因、心身の健康状態やネグレクト・虐待のような環境的要因により医療へのアクセスに格差があることから、これを解決するために、臨床疫学データを活用した研究を推進する。特に、歯科医療にアクセスが困難と考えられる、要介護高齢者、歯科的介入拒否患者、被虐待者、口臭外来患者、南極越冬隊員を中心として、歯科医療へのアクセスの難しさに焦点を当てた検討を行う。

 「歯学教育の国際展開プログラム」(歯学教育開発学、健康推進歯学、口腔疾患予防学、部分床義歯補綴学、摂食機能保存学、高齢者歯科学、教育メディア開発学、歯学教育システム評価学、健康支援口腔保健衛生学、口腔機材開発工学)では、次世代先端的歯科医療・研究を担う世界水準の人材育成システム研究(プログラム・教育内容の開発・導入とその評価検証)を行う。同時に、先進技術とコンピューターシュミレーション教育をリンクし、新たなバーチャルリアリティ(VR)教育システムの開発・導入を行い、臨床実践的教育についても世界に展開できるシステムの構築を行う。さらに、アクティブラーニングを行うための手法として、歯学教育における反転授業の学習効果を客観的に検証するランダム研究を実施し、反転授業の特徴と効果を明らかにする。また、歯科臨床コンピューターシミュレーション教材を中国語に翻訳し、中国の歯学部(首都医科大学)における学部生授業で活用して、教材の学習効果を検討する。さらに、学習レベル通知システムを中国の歯学部学生に応用し、自主学習の動機づけに有効であるかを解析する。

 「健康格差是正を目指した遠隔歯科リスク診断システムの構築」(総合診療歯科学・総合診療部、健康推進歯学、摂食機能保存学、小児歯科学・障害者歯科学、口腔疾患予防学、教育メディア開発学、健康支援口腔保健衛生学)では、南極越冬隊員に対する健康管理システム構築の研究成果を、国内外の歯科過疎地域における健康管理システム構築に援用し、人々の口腔保健の維持・向上に貢献するための歯科医療支援・健康管理システムの構築を目指す。

 「有病者の口腔衛生管理に影響を及ぼす要因の検討」(小児歯科学・障害者歯科学、口腔健康教育学、健康支援口腔保健衛生学)では、有病者の口腔衛生管理に影響を及ぼす要因を検討し、口腔衛生管理に影響を与える因子を明らかにすることにより、適切な口腔衛生指導や生活指導を可能にすることを目指す。

 「生活習慣病予防における多職種連携」(口腔疾患予防学、口腔健康教育学、健康支援口腔保健衛生学)では、職域における口腔保健推進に関する研究、糖尿病患者への歯科保健指導が全身および口腔へ及ぼす効果、海外に在住する日本人とその家族の口腔保健に関する健康支援について検討する。

 「入院患者に対する口腔ケアにおける遠隔システムの活用」(口腔健康教育学、医療経済学分野、地域・福祉口腔機能管理学分野、歯学教育システム評価学)では、看護師と衛生士との遠隔システムを用いた連携による口腔ケア指導の有用性を明らかにする。

 「歯科医療基盤データの構築」(総合診療歯科学・総合診療部、健康推進歯学、口腔疾患予防学、摂食機能保存学、部分床義歯補綴学、法歯学、健康支援口腔保健衛生学)では、歯学部付属病院電子カルテ上の診療情報データベースの構築として、歯病次期医療情報システムの整備および医療情報の二次利用の手段を構築する。また、歯学全般にわたるデータベースの構築として、データ蓄積の枠組みとなる歯学オントロジーの構築を行い、実用化につなげる。

 「高齢者の身体的虐待の特徴と傾向に関する研究」(法歯学・健康推進歯学)では、高齢者に対する身体的虐待の法医学的特徴や傾向および関係機関との連携強化のための課題を明らかにする。

 「歯科的問題を抱える市民に対する社会受容基盤の構築」(統合教育機構、総合診療歯科学・総合診療部、健康推進歯学、口腔疾患予防学、口腔健康教育学、地域・福祉口腔機能管理学、健康支援口腔保健衛生学)では、歯科治療(義歯等)や口腔外科手術を受けた市民が、質のより高い生活を送るために必要となる、歯科疾患に関する問題のコミュニティでの受入状況、設備整備状況を調査し、新たな社会受容基盤のあり方の提案を行う。

 「地域連携・多職種連携の充実化に関わる研究」(統合教育機構、総合診療歯科学・総合診療部、健康推進歯学、口腔疾患予防学、口腔健康教育学、地域・福祉口腔機能管理学、健康支援口腔保健衛生学)においては、多職種連携を可能とする人材養成の観点で、歯学科・口腔保健学科における臨床・基礎教育現場での多職種連携教育に関わる研究活動を推進し、充実した教育機会の創出を目指す。また、地域において医科と歯科の連携を促進させるため、特に総合診療医(家庭医)に対して必要な歯科教育の在り方や、医科と歯科の橋渡し役としての歯科衛生士の役割を充実させるために必要な教育の在り方についても明らかにし、提案を行う。