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材料(生体再生・再建)ユニット

研究内容の概略

 材料や器械の進歩により歯科医療はより低侵襲・安全・審美的なものへと大きく変革している。歯質への接着技術やデジタル計測・加工技術はその典型例である。近年では3Dプリンタに代表されるように加工技術の進歩が著しく、高速・高精度の造型が可能になっている。また光,エックス線,超音波を用いる最新診断技術は、患者の負担を減らしつつ、短時間に正確な診断を可能にしている。加えて人工物によらず生体組織そのものによる再生医療も飛躍的な進歩を遂げている。これら材料・機械・計測・組織工学をコラボレーションし、歯科の予防・診断・治療に応用することにより、患者への負担を低減し、審美性などのQOLも考慮した歯科医療のさらなる変革が望まれている。本テーマでは歯科医学と工学の融合による新たな診断・計測技術、歯科医療素材やその造型技法を開発し、病変の早期発見,低侵襲で高信頼性の治療により、安全で患者の負担の少ない治療を目指す。

具体的な研究内容(関連分野による分担)

 具体的には、MI(Minimal Intervention)の考え方に基づき、歯質の侵襲を最小限に抑えた修復を可能にするため、歯質及び歯科修復材料の表面微細構造を制御した接着技術の開発による長期耐久性と接着力を兼ね備えた接着技術の開発するほか、可視・赤外レーザーなどを用いた、患者負担が少なく高速で正確な病変診断技術を開発するのに加え、高接着性能や歯質修復性能を持つ新たな歯冠修復材料の開発を行っている(う蝕制御学・歯髄生物学・小児歯科学・口腔機材開発工学)。
 形状計測から加工まで全てをデジタル化したデジタルデンティストリーの精度を高め、審美性や化学的耐久性に優れた様々なセラミックス材料や高分子材料を歯科修復物に応用する(摂食機能保存学・高齢者歯科学・快眠歯科外来・口腔機材開発工学・口腔基礎工学・先端材料評価学)。また歯科補綴装置の物理・化学的耐久性,口腔内での長期安定性(細菌付着や着色・骨吸収抑制など)を高める自己清掃性・防汚性に優れた素材開発および補綴物設計法の開発を行っている(部分床義歯補綴学・口腔機能再建工学・インプラント口腔再生医学・硬組織薬理学・硬組織構造生物学)。
 歯科用インプラント材料に天然歯に匹敵する生体適合性を持たせるため、金属・セラミックスと生体組織を複合したインプラントを開発するとともに、審美性と物理・化学的耐久性を兼ね備えた上部構造体の素材と造形法を開発している(インプラント口腔再生医学・口腔機材開発工学・咬合機能再建工学・口腔基礎工学)。
 矯正の分野では、種々の装置からの矯正力を精密に計測し、予後を予測して安全で迅速な矯正を実現するための計測・シミュレーションシステムを構築するほか、審美性に優れたメタルフリー矯正を実現するための新規材料の開発を行っている(咬合機能矯正学・顎顔面矯正学・顎顔面外科学・先端材料評価学)。
 材料ユニットに関わる分野間では従前から臨床系分野で必要とする材料・器械の開発や評価を工学系分野が支援する型の強固な協力関係にあった。分野により扱う材料・器械が多岐にわたるため、本プロジェクトでも分野ごとに様々な研究を並行して行ってきた。今後もその協力関係を維持し、共同研究を継続する予定である。