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全分野紹介

う蝕制御学分野

教授
島田 康史
研究教授
平石 典子
講師
高橋 礼奈
助教
井上 剛, 畑山 貴志, 田端 倫子
島田 康史

TEL 03-5803-5483FAX 03-5803-0195
分野HP http://www.tmd.ac.jp/ope/index.html

分野概要

1928年の本学創立時、当分野は檜垣麟三教授が主宰する保存療法学として発足、1960年には総山孝雄教授、1982年からは細田裕康教授が教室を主宰した。当分野では一貫してう蝕学、保存修復学についての研究、教育を推進し、今日の保存修復治療、接着歯科治療の確立に中心的な役割を果たし、う蝕 治療の世界的潮流の形成に貢献してきた。 今日では当分野は、活動の基本は臨床であり、臨床に関連した研究テーマを優先し、教育においても理想論ではなく、臨床現場の 感覚を重視している。伝統的に「材料学と生物学との両面からのアプローチ」により、接着歯学とう蝕学を基盤に歯質保存的なう蝕治療法を世界に先駆けて確立、高度化した。現在では、「Minimal Intervention」という概念に基づく低侵襲の接着性審美修復治療開発講座として世界でも認知されている。

2003年からは、COEプロプログラム「歯と骨の分子破壊と再構築」、そして2008年からグローバ ルCOEプログラム「歯と骨の分子疾患科学の国際教育拠点 -デントメドミクスのインテリジェンスハブ-」の推進に基幹講座の一つとして貢献した。従来の保存修復学にとらわれない、歯の硬組織の破壊予防と再 構築に関する広範な内容に取り組み、最新のテクノロジーの応用も積極的に図っている。これらの活動により歯科医学研究、歯科医療において世界をリードす る創造的な人材育成を目指している。

研究活動

  • ボンディングシステムの歯質接着性の評価
    接着性修復材料の歯質(エナメル質、象牙質、セメント質)への接着性について、各種接着試験法(当分野で開発した微小引張り接着試験や微小せん断接着試験など)を用いて検討し、歯種や部位の違い、う蝕や歯牙フッ素症、各種切削法、治療用放射線の照射、根管治療歯などの影響について評価する。さらに各種接着システムの接着耐久性について検討する。
  • Super Toothに関する研究
    生体材料を歯質に応用することによって、健全歯質よりも物理的、化学的、生物学的に強固な歯質(Super Tooth)を形成することをめざし、歯の強化、長寿化に貢献する。Super Toothの形成機序の解析や各種接着性モノマー、フッ化物含有リン酸カルシウムを添加した材料による歯の石灰化誘導についても検討する。
  • 歯科用OCTの開発と臨床導入
    光干渉断層画像計(OCT)は、生体組織の断層構造を、電離放射線による被曝を伴わずに光学組織切片に近い精度で画像化することができる。う蝕や歯の亀裂などの歯科疾患を高い精度で診断できる歯科用OCTの開発と臨床導入をめざし、研究を行う。
  • レジンコーティングによる接着性間接修復物の適合性、接着強さの向上
    口腔内の接着修復物のギャップや二次う蝕を非破壊で検出する方法を確立するため、光干渉断層計(OCT)を用いて検討する。
  • コンポジットレジンの重合挙動特性評価
    コンポジットレジンの重合収縮応力緩和効果を有する臨床技法の確立のため、接着材、コンポジットレジンの組成、照射光の種類、光照射法および窩洞形態(C-factor)がレジンの重合収縮応力に与える影響を、歯質に対する窩壁適合性や接着強さ、Micro X線CT画像と3D visualization法によるレジンの重合挙動解析により評価する。
  • レジンコーティングによる接着性間接修復物の適合性、接着強さの向上
    窩洞面へのレジンコーティング処理後のレジンセメントの接着性や修復物の適合性、術式の検討などを行う。さらに、レジンコーティング法の間接法支台築造への応用についても検討する。
  • 歯の光学的特性の測定
    エナメル質や象牙質など、光の屈折率と減衰係数の計測を行い、脱灰と再石灰化による変化を検討する。
  • レジンコアによる無髄歯支台築造
    無髄歯に対するレジンコアによる支台築造の際の、コア用レジンの根管象牙質への接着性能、ファイバーポストの応用などについて評価・検討する。
  • 咬・摩耗症の検討
    Tooth wearを引き起こす要因となる、酸性の薬や飲料、食品などによるエナメル質酸蝕を調べるため、エナメル質ブロックを、pH値の異なる各種溶液に浸漬し、全焦点3D表面形状測定装置を使用して浸漬後の表面性状変化や表層pH値について検討する。
  • カリエスリスクの判定
    被検者から採取した唾液サンプルについてpH値を測定し、カリエスリスクの簡易で客観的な診断法の確率をめざす。さらにう蝕原因菌とpH値との関係について明らかにする。
  • う蝕原性細菌の歯質への初期付着能の評価
    バイオフィルム形成の初期過程であるS. mutansなどの齲蝕原性細菌の歯質への初期付着能とその遺伝的因子についてモデル実験により検討する。
  • 接着性修復材料の生態適合性の評価
    各種接着性材料および修復法の歯髄に対する影響について免疫組織学的な検討を行い、評価する。
  • フッ素徐放性修復材料、CPP-ACPと二次う蝕抑制効果
    フッ素徐放性修復材料やCPP-ACP ペーストの塗布によるエナメル質、象牙質の脱灰抑制効果について、非破壊的にマイクロCTにより観察し、二次う蝕との関連性について評価する。
  • う蝕除去法の評価
    う蝕歯質領域を同定し、従来の回転切削の他、器械‐化学的なう蝕除去、レーザー、エアーアブレイシブなどの新しいう蝕除去法について、う蝕象牙質の除去効果やその後の修復への影響について評価を行う。
  • 審美歯科材料の開発、評価
    コンポジットレジンの色調と光特性に関する評価研究を行う。また、審美歯科、歯のホワイトニングに関連する材料について臨床応用に関する研究を行う。
  • 臨床評価
    本学歯学部附属病院むし歯外来に来院した患者に施行した修復処置の術後の経過についてプロトコールを作成し、材料や術式についての短期的および長期的評価を行う。

教育活動

  • 第3学年では、保存修復治療に必要な歯の形態と機能の回復について理解を深めるため、歯型彫刻実習を行う。また、臨床での基礎理論を理解するため、臨床イントロダクションの講義と実習を行う。さらに臨床現場はどのようなものか身をもって感じさせるために、むし歯外来にて病院体験実習を行う。
  • 第4学年では、保存修復学の講義および基礎模型実習を行う。講義では、う蝕および歯牙硬組織疾患の病態の把握とその診断法ならびに予防法、切削器具の種類とその使用法、修復材料の種類、窩洞形成法と修復処置法についての最新の知識・術式を教授する。また、基礎模型実習では講義と有機的に関連させながら、抜去歯および人工歯を組み合わせて各種修復法について、特に必要最小限の歯質削除と接着を応用した歯質保存的な修復方法を習得させる。
  • 第5学年では、基礎選択実習で当分野を選択した学生に対し、接着修復についての知識をより深めるため、基礎的もしくは臨床的な実験を計画し、研究指導を行う。また、臨床予備実習では臨床総合実習への導入として、附属病院むし歯外来において診断および保存修復の相互実習を行う。
  • 第6学年では、臨床総合実習を通じて、う蝕をはじめとする歯牙硬組織疾患に対する保存修復に関する幅広い学問的知識とそれに裏付けられた技術を体得し、近年要望が高まってきている審美歯科修復処置についても指導し、口腔の健康保持・増進のため、患者の立場に立って医療を行える、また、社会的要求にあった歯科医師の育成を計る。
  • 研修医および専攻生の卒後教育のためには、臨床現場において保存修復治療が適切に行えるよう最新の知識・技術の習得を目指し、指導を行い、良質な歯科医師の育成を計る。
  • 大学院生に対しては、先端的、国際的な研究を目指し、世界をリードする基礎研究者となりえるような教育を行うと同時に、臨床研究者および歯科医学教育者としての育成を計る。

教育方針

う蝕や咬耗・磨耗、歯牙破折、酸蝕症、変色歯など、歯の硬組織疾患に対する診査・診断、治療を行うにあたり、必要となる保存修復学の原理と技能について、理解・習得させることを目標とする。現在の保存修復治療は、歯質接着性材料を用いることなしに行うことはできない。したがって、歯質接着のメカニズムおよび歯質接着性材料に関する深い知識とその修復術式について習得する必要がある。これらのことを考慮し、教育・実習を行う。

臨床活動及び学外活動

本学歯学部附属病院において、う蝕制御学分野は歯髄生物学分野とともに、「むし歯外来」を担当している。 「むし歯外来」においては患者に対する人権を最大限に配慮しながら、卒前・卒後の学生、研修医の臨床教育を行い、さらに新規器材・器具などの臨床治験も実施している。専門性の高い診療としては、う蝕の診断およびリスク診断、各種切削器具によるう蝕の除去、接着性材料を応用した歯冠色修復法、歯牙漂白などの処置が挙げられる。一方で、診療内容が専門性の高い治療に偏ることなく、患者のニーズに合わせた一口腔単位の包括的な診療を心がけている。診療は、基本的には、担当医制であるが、必要に応じて症例検討を行い、他の専門外来とも連携して治療を行っている。また、新患については患者の希望に応じて、地域の歯科医師への紹介も行っている。

臨床上の特色

う蝕制御学分野では、前身の歯科保存学第一講座から、う蝕治療の研究を行っており、う蝕に対して最小限の歯質の削除と、接着性材料を用いたコンポジットレジン修復技術を確立し、最小限の侵襲(minimal intervention)によるう蝕治療を実践している。また、患者の審美的な要求の高まりとともに歯冠色材料を応用した審美的歯冠修復法や変色歯に対する処置についても対応している。