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全分野紹介

口腔生命医科学分野

教授
片桐 さやか
准教授
永井 重徳
助教
大杉 勇人

所在地 M&Dタワー6階
TEL 03-5803-5935FAX 03-5803-5935
分野HP http://www.tmd.ac.jp/mim/index.html

分野概要

 口腔生命医科学分野は、2000年4月に大学院重点化に伴い新たに設置された専攻分野である分子免疫学分野(東みゆき教授)の後継分野として、2024年7月に設立されました。かねてより、口腔と全身の疾患が関連していることが多数報告されています。口腔という臓器はとてもユニークで、歯が口腔上皮から頭を出しており、自己と外部環境を隔てる上皮バリアの連続性が断裂しています。自己と外部環境が繋がっているにも関わらず、全身の恒常性が破綻しないのは、口腔の様々な細菌が精巧なバランスを保って共生しているからです。そのため、この口腔内細菌叢のバランスが崩れた、「口腔内dysbiosis」が起こることは、上皮バリアの破綻を意味します。口腔内dysbiosisによる上皮バリアの破綻は、全身の恒常性の破綻を引き起こします。それによって、糖尿病や肥満のような代謝疾患や、循環器疾患、切迫早産などの妊娠中の疾患の進展・増悪に影響することが多数報告されています。しかしながら、口腔と全身が関連しているという報告はあるものの、口腔と全身のクロストークの分子的基盤は確立できていないため、分子的基盤の構築および口腔を基軸とした疾患の新たな予防・治療法の開発を目指します。

 また、本分野は口腔科学センターの一部門であり、様々な分野・大学からの国内外の大学院生や教員が壁を越えて口腔科学研究に取り組めるようサポートします。

研究活動

研究目標:全世代への新たな疾患予防戦略の確立のために、口腔を1つの臓器ととらえ、エネルギー代謝に重要な、肝臓・脂肪・筋肉とのクロストークを解明する研究を行っています。高齢者ではサルコペニア肥満、中高年者では糖尿病や肥満を含む、糖・脂質代謝異常、胎児から若年者では代謝異常に関わる発育不全など、各世代別で社会問題となっている代謝性疾患に注目します。また、かねてより関連はあると言われているものの、分子基盤が構築されていない疾患との関連のメカニズム解明を目指します。加えて、各種臓器における組織細胞上の多種多様な補助シグナル分子の発現制御や機能的役割を明らかにし、これらの分子を標的とした免疫治療法を開発することも目的としています。口腔内dysbiosisおよびそれに伴う歯の喪失・咀嚼機能低下がどのように全身に影響するかを明らかにするとともに、光エネルギーの応用など、新たな治療法を開発し、口腔疾患の治療法および口腔から全身疾患の治療法開発へ繋げます。

研究テーマ

  • 口腔と糖・脂質代謝異常との関連
  • 口腔内細菌叢破綻の妊娠・出産への影響
  • 口腔機能の脳への影響
  • 口腔内細菌叢の腸内細菌叢への影響
  • 口腔免疫寛容マクロファージにおける新規免疫チェックポイント分子ILDR2の発現および機能解析
  • 光エネルギーを応用した新規治療法の開発
  • 口腔機能低下の全身への影響

教育活動

学部教育:
歯学部歯学科 第1学年:歯学入門(歯学史)、第3学年;感染と生体防御 講義および実習 ユニット1:感染と生体防御概論、ユニット5:生体免疫応答、病態科学演習モジュール 糖尿病担当、隣接医学:歯科と妊娠 第4学年 研究実習分野配属、 学年混合選択セミナー 選択コース1-A:海外留学と海外協力

歯学部口腔保健学科・口腔保健衛生学専攻 第2学年「病原微生物と生体防御」第3学年「先端歯科医療学」

歯学部口腔保健学科・口腔保健工学専攻 第1学年「感染予防」「人体の構造と機能」

大学院教育:
博士課程(医歯学総合研究科)口腔生命医科学特論・演習・実験

歯周病学Ⅱ特論

教育方針

学部教育:感染免疫、腫瘍免疫、アレルギー、免疫不全症、自己免疫疾患の理解を深めるとともに、口腔が全身にどのように影響を与えるかを体系的に学んでいただきます。

大学院教育:専門分野やこれまでの研究テーマに限定されない座学の提供に加え、分子生物学、免疫学、バイオインフォマティクスなどの技術的手法を教育します。臨床的疑問に対する解決方法を提案出来る能力を身に着けていただきます。