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全分野紹介

小児歯科学・障害者歯科学分野

教授
岩本 勉
講師
柿野 聡子
助教
楠本 康香, 杉本 明日菜, 大石 敦之, 和田 奏絵

所在地 歯科棟北11F
TEL 03-5803-5539(分野)、5756(外来)FAX 03-5803-0204

概要

小児歯科学分野は1956年5月に本邦初の小児歯科学講座として発足し,我が国における日本の小児歯科医療・教育・研究を牽引してきた伝統ある教室である。小児期の健全な口腔育成に必要な発育支援とその過程で生じる疾患や問題に対する診断・治療・予防に関する教育・研究を行う臨床歯学を実践してきた。障害者歯科学分野は,1982年に障害者歯科治療部を出発点とし発足し,1987年に歯学部附属病院顎口腔機能治療部と統合し障害者歯科学講座となり,1999年に障害者歯科学分野となった。小児から成人まで,障害のある方,病気により特別な対応が必要な方の歯科診療を行ってきた。それぞれ小児歯科外来,スペシャルケア外来を構える。2020年より,定型発達児,障害児,有病児等の隔てなく,小児の口腔疾患全般に関する教育・研究・診療体制の再編を目的として両分野が統合された。

研究活動

研究テーマとして,

  • 歯および顎顔面の発生メカニズムの解明
    歯および顎顔面の発生過程の理解は小児歯科臨床を実践する上で必須の知識である。しかしながら未だに発生過程で働く遺伝子や分子間相互作用の機構について不明な点が多い。再生医療が次世代の医療と期待されている今日,歯の再生は究極の歯科治療の1つとなる。再生医療は幹細胞を用いる方法と人為的に作られた再生器官に置換する方法があるが,これらを最終ゴールとして,発生メカニズムの理解と,幹細胞の応用方法,再生器官作成法の開発を目指す。
  • 小児の歯と歯髄の診査法・診断・治療法の開発
    乳歯および幼若永久歯の歯内療法学と外傷歯科学は,歯根吸収や歯根形成など成長発育への理解が求められる。このような観点で乳歯および幼若永久歯に望ましい歯内療法,歯髄再生療法を研究する。さらに,歯髄血流測定による非侵襲的・定量的歯髄診断法の開発を目指す。
  • 小児の顎・口腔機能に関する研究
    口腔は,話す,食べる,呼吸するといった生命活動にとって極めて重要な器官である。これらの機能の獲得・熟達の過程についての理解とその機構を解明し,正常な発達過程へ導く支援方法の開発を目指す。
  • 新規齲蝕予防法および修復法の開発
    100年後を意識した新たな歯質強化法,口腔清掃手段,歯科修復材料を創造していく。また,口腔バイオフィルムの生成メカニズムの解明とその除去法の開発を目指す。
  • 障害者の口腔内環境と歯科治療
    障害者の口腔状態は形態的,機能的にさまざまな特徴があり,さらに合併症を伴っていることが多く歯科治療が困難なこともあるため健常者より歯科疾患の予防が重要となる。そこで,染色体異常,自己免疫疾患,その他疾患に関連した口腔内環境への影響因子を検索し,より有効な口腔内管理について検討する。
  • 身体障害児・者への口腔保持型自助具の設計・製作
    安定した顎位を失っていることの多い脳性麻痺の患者に対し,顎顔面補綴学分野の知識を応用し口腔保持型自助具の設計・製作について。患者及び介助者による取扱の簡便さを追求した開発を目指す。

教育活動

担当科目;
小児歯科学,口腔小児医学,障害者歯科学,障害と歯科医療

教育方針

生命誕生の発生過程の胎児期から,小児期,そして成人に至るまでのそれぞれの発育段階の理解と,その過程で生じる疾患や障害に対する理解を通して,口腔領域の健康の維持・増進に必要な診断法ならびに治療法,予防法,そして継続的な健康管理方法について,その理論と実践能力を修得させる。また,成育過程における社会や家庭などの児を取り巻く環境問題についても理解を深め,全人的医療を実践できる医療人育成を目指す。さらに,障害者歯科学,有病者歯科学についても理解を深め,将来予想されるさまざまな歯科医療状況に対応できる人材育成を目指す。

臨床活動および学外活動

歯学部附属病院において,小児歯科外来ならびにスペシャルケア外来を担う。

岩本 勉:日本小児歯科学会専門医・専門医指導医,日本小児歯科学会常務理事

柿野 聡子:日本小児歯科学会専門医・専門医指導医

楠本 康香:日本障害者歯科学会認定医・認定医指導医・専門医

和田 奏絵:日本小児歯科学会専門医,日本障害者歯科学会認定医

上原 智己:日本小児歯科学会専門医

大石 敦之:日本小児歯科学会専門医

星合 泰治:日本障害者歯科学会認定医,日本顎顔面補綴学会認定医

臨床上の特徴

生涯を心身ともに健やかに過ごすために,小児期に健康意識,健康行動,口腔健康増進を育むことが大切になる。当科では,新生児期から成人になるまでの健康児,障害児,および有病児,すなわちすべての小児を対象に,下記の診療内容と育児支援を行っている。小児の歯科治療不安や恐怖を,小児の行動科学に基づき予防・軽減し診療を実施している。また,医学部附属病院との連携医療として、小児科病棟入院患者の口腔ケアや周術期管理も充実させ,オンライン診療の導入も進めている。周産女性診療科のマタニティクラスにおいては,妊婦や乳幼児への口腔ケア方法等の歯科指導を行っている。また,身体的,精神的,医学的,情緒的およびこれらの重複した障害のために,歯科医療上,通法治療に困難を伴う患者に適切な行動調整および全身管理を行いつつ,長期の口腔管理と咀嚼能力の改善を図る取り組みを行っている。種々の先天的,後天的な障害を有する患者に対しては成人後もライフステージに応じて顎口腔領域に後遺した機能的,形態的障害の再建・回復並びに長期にわたる保存を図ることを目的とする。

主な診療内容

  • う蝕・歯周疾患の予防・治療・管理
  • 歯列・咬合育成
  • 小児の歯・口腔の外傷処置
  • 小児の顎関節症の治療
  • 埋伏過剰歯・歯牙腫・含歯性嚢胞・粘液嚢胞などの摘出、上唇小帯・舌小帯の伸展術などの外科的治療
  • 成長発達期の口腔筋機能訓練
  • 欠損歯の補綴