
2011年4月に開設された口腔保健工学専攻は、口腔の健康の維持・増進・回復を図り人々が快適な社会生活を営めるように医療専門分野はもとより工学分野とも相互に密接な連携を図りつつ総合的かつ科学的研究を行いその成果を広く社会に還元する極めて学際的なコースです。目指すのは、口腔から全身の健康に関する十分な知識と高度な専門的技術を有する歯科医学・歯科医療の一翼を担う歯科医療技術者です。卒業後には、口腔保健工学を発展させていくことのできる技術者、研究者、教育者として、国内はもとより国際社会においても活躍することが期待されています。
口腔保健工学専攻のプログラム
口腔保健理工学実習
口腔保健理工学実習では、歯科において用いられるさまざまな材料の歯科理工学的性質を理解し、それらの性質を測定し、適切に扱える力を身につけます。

歯の形態実習
歯の形態実習では、補綴装置製作の基本となる天然歯の概形を、歯のデッサンを行って歯の形態的特徴を理解し、ワックスで的確に彫刻再現できる技術力を養います。

全部床義歯・部分床義歯・臨床咬合学・顎補綴・顔面補綴学実習
歯科技工士として必要な補綴装置の製作技術と知識を修得します。全部床義歯実習では、すべての歯が欠損した患者に対して損なわれた形態と機能を回復するために用いる全部床義歯の製作を行います。部分床義歯補綴学実習では、部分床義歯の構成要素が備えるべき条件や使用する材料の性質を理解し、部分的に歯が欠損した患者に対するレジン床や金属床の部分床義歯の製作を行います。デジタル技術を用いた全部床義歯や金属床義歯の設計も行います。また、咬合器やフェイスボウなどの使用についての知識を修得し、臨床咬合学では半調節性咬合器の模型装着実習を行います。顎補綴学実習では、外傷や先天性疾患、腫瘍などにより生じた欠損に対する顎補綴装置の製作法と必要な知識を学び、上顎欠損に対する顎義歯の製作を行います。顔面補綴学実習では、顔面欠損に対する装置の構造と製作法について学び、義眼と眼窩エピテーゼ、指エピテーゼの製作を行います。




歯冠修復学・審美修復学・デジタル歯冠修復学実習・デジタルデンティストリー実習
歯冠修復学実習では、インレーやクラウン、コア、ブリッジと呼ばれる金属製やプラスティック製の補綴装置の製作法と必要な知識を学びます。デジタル歯冠修復学実習では1人1台の歯科用CAD/CAMシステムを用いて補綴装置を設計し、CAMソフトを用いて削り出し加工を行い、装置を製作します。審美修復学実習では、天然の歯と同じような色を持つ材料を用いてセラミック冠などを製作し、陶材を用いて色の表現法などを学びます。デジタルデンティストリー実習では歯学科6年生に対して本専攻4年生がCAD/CAM冠の製作方法の実 習を行います。その他にも光学スキャナーを用いた 顔面スキャンや口腔内スキャナーを用いた模型のスキャン実習、放射線画像データの3D 構築、CADソフトでデータを作成し3Dプリンターで造形する 実習なども行います。




グローバル口腔保健工学・実習
日本の歯科医療や日本について、本学口腔保健工学専攻の紹介をテーマとし、3つのグループに分かれて内容を検討し、英語でプレゼンテーションを作成します。ネイティブ教員から英語でプレゼンテーションの構成や作成法、発音練習、発表の指導を受けます。台湾の台北医学大学に研修に行き、大学、附属病院、歯科技工所の見学、カービングコンテストの実施、両校の学生が準備してきたプレゼンテーションや質疑応答を英語で行います。研修の内容をまとめて3年生が2年生に対して発表し、2学年で双方のプレゼンテーション発表会を実施します。

国際交流
同じ4年制歯科技工士養成大学である台北医学大学と、3年次の10月にグローバル口腔保健工学実習の台湾研修で訪 問して交流し、3月に台湾からの学生を受け入れて交流しています。英語でのプレゼンテーション、講義や演習を一緒に行い、カービングコンテストに参加して技を競い合います。日本の歯科医療を理解するとともに国際社会における歯科医療を知り、国際的な視野を広げるとともに、学習のモチベー ション向上につながっています。

出典:2024年 大学案内