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歯学科プログラム

歯学科の教育理念

 豊かな人間性を有し、使命感をもって全人的な歯科医療を実践し、国民の健康維持・増進に寄与するとともに、国際的視野から歯科医学・歯科医療の向上に貢献できる指導者を育成します。

歯学科の教育目標

  • 1.幅広い教養を身につけ、歯科医師としての豊かな人間性を培う。
  • 2.基本的な科学の原理と概念を理解し、生命科学の知識を修得する。
  • 3.科学的探究心をもち、自ら問題を発見し、解決する能力を身につける。
  • 4.全身を理解した上で、口腔領域の疾患の予防、診断、治療に関する知識と基本的技術を修得する。
  • 5.社会における歯科医学・歯科医療の役割とその重要性を理解する。

歯学科の教育内容

 今、歯科医療は変化しつつあります。
 口腔内の環境が全身の疾患と関連しており、様々な疾患の予防、治療には口腔の衛生環境、機能を健全に保つことが大切であることがわかってきました。これからの歯科医師には、最先端の歯科医療を行う技術、知識の習得が求められるのはもちろんのこと、社会の高齢化、医療の複雑化が要求する多職種間の連携による包括的医療へ、口腔のスペシャリストとして参加できる知識、能力が要求されています。
 本学歯学科は、将来、歯科医学の臨床、研究において指導的医療人となる歯科医師、また、高度な社会的要請に対応できる歯科医師を養成するため、教育に対する様々な工夫を行っています。
 1年次は教養部で全学共通科目を履修し自己の教養を深めるとともに、後期には湯島地区で学部教育「歯学入門」が実施され、歯科医学と歯科医療の現状を認識し、医療人としての基本的態度を学びます。また、教養部は、医療系総合大学である特徴を生かし、学部学科を超えた友人を作る場でもあります。
 2年次以降は湯島地区で教養教育、医歯学融合教育、歯科基礎・歯科臨床専門教育が行われます。専門科目の講義・実習は、モジュールという大きな枠組みの構成単位で履修するシステムです。3年次までは、解剖学、生理学、生化学、病理学など、人体の構造、機能、病態の基礎について学びます。4年次からはいよいよ歯科臨床の基礎の学びが始まります。
 その間医学科など他学科の学生と共に学習するのも医療系総合大学である本学ならではの特色です。
 また、施設での体験学習を通して「人間観」を獲得し、さらに自己理解を深めることを目標とした「行動科学基礎」、口腔領域における疾病のケースシナリオを用いて、解剖学、生理学などの基礎医学の知識を疾病の病態解釈と理解に統合する「病態科学演習」、口腔に関する一つのテーマに沿って様々な側面からの知識の整理を行い、より深い理解を行う「課題統合セミナー」、将来の歯科医師としての自覚を高めるために、実際の歯科臨床の現場を体験し、e-learningや動画・模型を用いたシミュレーション教育によって歯科臨床を体験する「臨床予備実習・臨床体験実習」、学年を越えた学生が一緒に興味を抱く医歯学領域のテーマを自ら選び、理解を深める「学年混合選択セミナー」など、自主的学習態度、論理的思考能力を養い、科学的に問題解決の方法を習得するカリキュラムが組まれています。
 さらに、本学では海外の多くの大学との学術交流を通じて国際交流が活発に進められており、本学科も学生を積極的に海外研修に派遣し、国際性を養う制度が充実しています。
 一方、研究者、研究マインドを持った歯科医師を育てるため、4年次には「研究実習」期間を設け、歯学科以外の研究機関を含めた基礎あるいは臨床研究分野において長期(2~3ヶ月間)の自由研究活動を行います。この期間を外国で研修することも可能です。その後研究を継続したい学生には、4年次修了後に本学大学院に進学して歯学博士号を取得後、復学して歯科医師となるDDS‐PhDコースも選択できます。
 そして5年次前期終了時には、それまでに習った知識の総合的理解力を評価するコンピュータを用いた客観試験であるCBT(Computer Based Testing)、診療に参加する学生に必要な基本的診療技能・態度を評価する客観的臨床能力試験であるOSCE(Objective Structured Clinical Examination)が実施されます。
 この試験に合格すると、5年次の秋から6年次には本学歯学部開設以来の伝統として、診療参加型の「包括臨床実習」が約1年6ヶ月行われます。学生には日本で最大の1日来院外来患者数を誇る本大学病院歯系診療部門から学生用患者が配当されます。学生は原則として患者の医療面接から、診断、処置、予後観察、メインテナンスに至る包括的全人的な治療の実践を経験します。患者治療を直接行う経験を通じて倫理観を醸成し、包括的歯科医療の理論と実際を実践体得し歯科医師としての自覚を高めていきます。
 なお、2020年度からは原則として、講義は遠隔授業とし、実習は感染対策に配慮しながら対面授業で行っています。また、2023年度1年生からは新カリキュラムの導入が予定されています。

伝統の裏打ちされた世界に誇る教育環境
世界の歯科医療をリードする人材を育てる

 本学科は2018年に創立90周年をむかえた日本初の国立歯学教育機関としての伝統を誇りとし、常にさらなる発展を目指すことで、2022年QS* 世界大学ランキング歯学分野において、国内第1位、世界第6位の高評価を得ています。
 本学科では6年間の教育を通じて、国内はもとより、国際的にも活躍できる指導者的歯科医師、歯科研究者の育成を目指します。
 そのために、歯科医師養成機関のフロントランナーにふさわしく、経験豊かな教育スタッフ、充実した施設、多彩な教育コンテンツを用意し、歯学の基礎から臨床に至るまでの質の高い教育を提供しています。
 一方、歯科医学・医療においても国際化は進展しています。本学では世界に広がる協定校とのネットワークを生かし、海外研修など国際的感覚を身につける教育にも積極的に努めています。

*英国の世界大学評価機関のクアクアレリ・シモンズ(QS)による

歯学科のプログラム

早期臨床体験実習

 歯科医師としての自覚を早期に持ってもらうために、少人数のグループに分かれ、本大学病院歯系診療部門の診療科に配属されて、見学を通じて医療の実際を体感します。そこで疑問に思ったこと、興味を持ったことなど自ら課題を見つけて、調査・実験・討論等を通じてその課題を解決します。これらの過程と成果をクラス全員の前で発表するとともにレポートとしてまとめ、プレゼンテーションの基礎を身につけます。

(2023年度からは対面授業と遠隔授業を併用する予定です。)

早期臨床体験実習

行動科学基礎

 医療者の基本であるプロフェッショナリズムの核となる歯学生の人格の成長を主題としています。医療者という役割を持つ前に一人の人間として「自分を知り、互いに交わり、互いに成長のプロセスを歩む」ことを意識しながら、多くの人との出会いに挑戦します。
 他者と関わる中で、自分自身の中に起こってくる考えや感情、その変化を意識し、言葉で表現し、必要に応じて相手に伝える。また、相手の話を聴き、確かめ、相手を理解する体験をし、最終的に人と互いに理解し合う、あるいは「人との出会い」の意味を体験的に理解することを目的としています。
 写真は視覚障害の方々の日常を疑似体験し、白杖について教わっている学生の様子です。

(新カリキュラム移行に伴い、授業内容が変更となる可能性があります)

行動科学基礎

病態科学演習

 問題発見・解決型思考力の向上を目指して、3年次に行われます。
 臨床症例の病態を症状や検査データを元に推論し、2年次に学習した基礎医学の知識を用いて論理的に説明できるスキルを身につけるトレーニングを行います。
 自学自習を目的に、少人数の学生がチューターの助言を得ながら個々の問題解決に必要な事項を学ぶTBL(Team-based learning)のチュートリアルです。
 2020年度からは遠隔授業(上の写真)を受けながらグループ内でweb会議システムを活用して課題に取り組む授業形態になっていますが、状況が整えば感染対策を徹底した上で2019年度以前のような対面でのグループ学習(下の写真)も取り入れたハイブリッド方式の授業も実施できる予定です。

病態科学演習

学年混合選択セミナー

 専門科目を学ぶ3~5年次(現行)の学生が、様々なテーマの授業を選択し、他学年の学生と一緒に授業を受講します。歯科の世界を越えた広い視野を持ち、柔軟な考え方ができる人材を育成することを狙いとしています。
 2023年度の授業テーマには、「海外留学と海外協力」、「研究論文作成・特許取得」、「明るい開業の道しるべ」、「アカデミアで活躍するプロフェッショナル」、「Presentation in English(Basic)/(Advanced)」、「キャリアup のためのコミュ ニケーション/ 自分らしいキャリアを創るには~男女で考えるキャリアデザイン」、「歯科医師の進路」、「製品開発への途」、「他職種との連携・協働–歯科医師に求めること–」、「歯科医学教育 の「いろは」を学ぼう」と、学生の自由な観点での学びを促すテーマを提供しています。

学年混合選択セミナー

研究実習

 歯学科教育目標である
・基本的な科学の原理と概念を理解し、生命科学の知識を修得する。
・科学的探究心をもち、自ら問題を発見し、解決する能力を身につける。
に基づいた科目です。1~3年次に受ける歯科医師として必要な基礎歯学教育の集大成として研究についての「いろは」を学ぶ研究入門です。学生ごとに興味ある研究テーマを選択し、学内外の研究室で最長で約3ヶ月実際に研究を行い、その成果を発表します。学外コースでは、国内だけでなく、海外の研究室で行うことも可能です。休暇中の実習期間延長も可能で、より充実した実習の成果報告を発表会で行えます。2020~2022年度の発表会はオンラインで開催されましたが、今後は状況が許せば対面開催となります。
 なお、2023年度入学者より導入予定の新たなカリキュラムでは、本実習は現在の4年次前期から3年次後期に時期を繰り上げて実施する予定です。



研究実習

包括臨床実習

 5年次の秋から6年次(現行)には本学歯学部開設以来の伝統として、診療参加型の「包括臨床実習」が約1年6ヶ月行われます。
 本大学病院歯系診療部門の学生専用の診療室で、あらかじめ学生の治療の同意を得た患者さんを担当し、ベテランの教員の指導のもとで、初診時の医療面接から、検査、診断、処置、予後観察、メインテナンスに至る包括的全人的な診療を実践します。
 また、様々な専門診療外来、病棟での実習も併せて行います。

包括臨床実習

人体の構造と機能

 歯科医師は人の「病態」を「正常」にもどすために治療を行います。
 「病態」がわかるためには「正常」がわからなければいけません。人体の構造と機能では、「構造」と「働き」についての「正常」な状態を学びます。
 人体の構造について学ぶのが解剖学です。解剖学実習では、歯科医師と関わりの深い頭頸部だけでなく、全身の構造について学びます。また、歯学部独自の科目として、「歯の解剖学」があり、直接の治療の対象となる乳歯、永久歯の形態、構造を学びます。写真は人体の構造を顕微鏡で観察する実習(組織学実習)です。
 人体の働きについて学ぶのが生理学です。生理学実習では、講義で学んだ神経の基本的な働きや、反射、咀嚼運動、味覚などについて、動物や人を対象に実験を行い、実際に自分の目でそのメカニズムを確かめます。また、自ら実験を行うということは将来研究者を育成するという目的も持っています。

人体の構造と機能

咬合回復

 歯周病などが原因で歯をなくした患者さんには、入れ歯やブリッジ、インプラント等の方法でなくなった歯を補って口腔機能と形態の回復を行います。このような学問を補綴(ほてつ)学と呼んでいます。補い綴るための学問です。写真は全ての歯をなくした患者さんにいれる入れ歯(全部床義歯)を作成する実習の様子です。

咬合回復
咬合回復

歯科生体材料

 歯科医療では金属、プラスチック、セラミック等、様々な材料が使われています。歯科材料が水分を吸って性質が変わったり、何かが唾液に溶け出してアレルギーなどの原因になってはいけません。また硬い材料でないとすぐに壊れてしまいますが、あまりに硬いといろいろな形に加工することができません。この実習では歯科医療で使用される様々な材料の物理化学的特性や、生体への影響、加工方法について学びます。写真はオンデマンド動画教材の一コマです。

歯科生体材料

咬合育成・発達

 子どもから大人への成長発育にともなって頭蓋、顎顔面は形態が変化します。また、歯は無歯顎から乳歯列が完成してしばらく安定した後、乳歯から永久歯に生え変わります。この時期にはむし歯や歯肉炎とともに歯の外傷や様々な原因で不正咬合(歯並び・咬み合わせの異常)が生じます。不正咬合は、審美的な問題だけでなく、機能的な問題も引き起こします。小児歯科学や歯科矯正学ではその予防、診断、治療に必要な知識と技術を学びます。写真は歯科矯正学の実習の様子です。

咬合育成・発達

歯と根尖歯周組織の疾患

 歯科医師にとってう蝕(虫歯)の治療はもっとも重要な仕事です。う蝕が小さなうちは削ってプラスチックや金属で埋めて修復します(保存修復学)。この場合、う蝕になっている部分だけを正確に削り取る技術が必要です。う蝕が大きくなると、歯の神経が炎症を起こしたり細菌感染がおこって痛みが生じます。この場合は神経の治療が必要になります(歯内療法学)。神経の治療は骨に埋まった歯根の先端部まで行わなければならず直接目で確かめることができないので技術が要求されます。このようなう蝕の治療も神経の治療も全て患者さんの口腔内で行われます。そのため、患者さんを模したマネキンを使って、実際の口腔内とほぼ同じ環境で治療のトレーニングを行います。

歯と根尖歯周組織の疾患

出典:2024年 大学案内