概要

 

 本プログラムは、歯学教育分野で先導的な役割を果たしてきた5大学(東京医科歯科大学、東北大学、新潟大学、東京歯科大学、日本歯科大学)が国立私立の枠を超えてコンソーシアムを形成し、各大学の強みである教育資源を共有・補完することで、健康長寿を育む為のあらゆるライフステージに対応した全人的歯科医療を担う人材養成の実現を目指します。

 具体的には、各大学が個性を生かした学部学生対象コースを新設し、教育コンテンツを開発、e-learningや教員の相互乗り入れにより、シームレス且つボーダレスな共同利用を行います。
 また、シンポジウム、FD (Faculty Development)等の共同開催により、学部学生や教員の知識・技能の向上を図り、研修医、大学院生等への卒後教育への波及効果も期待。更に得られたプロダクト、教育成果をHP、学会等を通じて全国発信・共有化を図り、歯学教育の高度化、標準化を目標としています。
 また、本コースを既存の教育課程に取り込み卒業要件の一部とすることで、現行歯学教育の課題を解決する人材養成を促進します。

 

各大学のプログラムとミッション、理念の関連

各大学で実施されるプログラムは、それぞれの大学のミッション・理念と密接に結びつき、更に供出されるコア科目は、それぞれの大学がもっとも得意とする分野です。これらは、本取組みの要点である異分野融合による先端的な歯科医療開発、地域歯科保健医療及びチーム医療の推進、医歯学融合による全人的歯学教育モデルの構築、世界的視野での歯学教育の標準化等のすべてに深く関連し、各大学の人材養成目的に合致した取組みであると言えます。

東北大学|異分野連携イノベイティブ歯学展開コース

コア科目 異分野融合型先端歯学・歯科医療

 本コースは、医学、工学、栄養学、農学、社会科学等、異分野領域と連携して次世代型の歯学を創出できる人材、広範な学問分野の融合知と高い倫理観をもって歯科医療に取り組める高度医療人としての資質を備える人材養成を目標としており、当大学のミッションである「研究第一」、「実学尊重」、「門戸開放」に基づく世界をリードする研究者・教育者の養成、バイオマテリアル・歯学再生医療等の創造的異分野融合研究の先導的役割に合致している。

新潟大学|口腔機能管理学コース

コア科目 摂食嚥下のメカニズム

 本コースは、地域包括ケアを理解し、他職種連携・地域協働により活躍できる歯科医療人材、摂食機能のリハビリテーションを通して、摂食と嚥下機能の連関を理解し、地域社会で食機能支援ができる人材の養成を目標としており、当大学のミッションである課題解決能力等を培った歯科医師養成と国内外の人材養成モデルの構築、口腔QOL向上を目指した基礎・臨床研究、有病・高齢者への対応や歯科再生医料の実践に合致している。

東京医科歯科大学|長寿口腔健康科学コース

コア科目 健康長寿を支える硬組織バイオロジー

 本コースは、医学と歯学の総合医療大学という強みを生かし、医歯学融合教育を軸とした幅広い年齢層への健康長寿に対する先進的研究開発、教育の面からのアプローチができる人材及び地域医療の中で、多職種連携を主導することができる人材養成を目標としており、当大学のミッションである国際感覚に優れた歯科医師・歯科医療技術者・研究者養成、医歯学融合教育や世界的視野での歯学教育の標準化、医歯学連携による歯科材料開発、先端的歯科医療推進に合致している。

東京歯科大学|地域社会に学ぶ新たな歯科医療プロフェッショナルコース

コア科目 テイラード・コミュニケーション概論

 本コースは、様々な幅広い医学的・社会的知識を持ち、最適な歯科医療を提供し生活の質の向上を図ることができる人材、口腔機能の維持と管理を啓発し地域の保健活動に貢献できる人材、生活習慣病をはじめとしたcommon diseaseの知識を有し、的確に患者の全身状態を評価して安心・安全な歯科医療を提供できる人材の養成を目標としており、当大学のミッションである、ライフ・サイエンスに基づいた「歯科医学」と先進技術に基づいた「歯科医療」の展開、医療の心である「ケアの精神」に基づいた歯科医療の実践のための人間性教育等に合致している。

日本歯科大学|地域連携ケアコース

コア科目 地域連携と摂食支援

 本コースは、医療・介護・福祉の有機的な連携に基づく地域包括ケアシステムを構築できる人材、リハビリテーション医学に関する知識や口腔機能に影響を及ぼす様々な疾患に関する知識のある人材、要介護者への食べることへの支援を通じ、人間としての尊厳を保つための援助である生活支援や人生支援ができる人材養成を目標としており、当大学の基本理念である「高等教育機関として、広く知識を授けると共に、深く歯・顎・口腔の医学を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、もって人類の文化の発展と福祉に寄与し、国民の健康な生活に貢献することを使命とする。」に合致している。

本プログラムの新規性、独創性

1教育資源共有化
 健康長寿を育む歯学教育プログラムとして、各大学がそれぞれ新たにコア科目と独自科目から編成されるコースワークを設置し、各々の人的・設備的基盤、地域連携基盤等に立脚して発展させてきた厳選された教育内容をコア科目として共有化することにより、各大学の特色ある教育資源を提供・補完する。これにより単独の大学では達成しえなかった包括的な歯学教育が実現可能となる。
2あらゆるライフステージ及び幅広い対象に対応できる歯科医療人の育成
 健康長寿の達成は、高齢者医療の充実だけに焦点が向けられがちであるが、本プログラムでは小児から老年期にかけてのあらゆるライフステージを対象にしている。また一般患者のみならず障害者や先天異常患者のような社会的弱者にも対応できるシームレスな全人的歯科医療の開発と実践を担う人材育成のための教育基盤形成を行うことが可能となる。
3多職種協働をベースとした地域社会における包括ケアに貢献できる歯科医療人の育成
 多職種協働をベースとして、口腔ケア、口腔リハビリ、摂食嚥下障害に対応可能かつ地域社会における包括ケアに貢献できる歯科医師の養成教育を、我が国の最先端をいく連携施設・地域福祉機関の協力を仰ぎながら実践することが可能となる。
4歯工連携教育による、新たな歯科医療創出を担う歯科医療人の育成
 異分野融合型の歯工連携教育により、産学連携による新たな歯科医療創出のための先端歯科医療技術・機器開発を担う人材養成が可能となる。

健康長寿を育む歯学教育コンソーシアム